dhtakeuti’s thoughts

主に開発やPCについて考えたこと、感じたことの記録

自動車と掛けてスマートフォンと解く。

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Apple iPhone Xs 2019 Family

そのこころは、どちらも買い替え年数が増えています。

自動車の平均買い替え年数は8.5年らしい。スマートフォンの平均買い替え年数は3年から4年の間を取って3.5年だろうか。

Long Buttery, Light Weight, Large Display と言うように、スマートフォンは大文字の L から始まる特徴で進化して来た。もちろん、High Speed もあるが、話がややこしくなるので省略する。今こそ、Long Life を謳ったモデルが出てきても良いのではないか?実験的に、あるモデルについては1年サイクルのモデルチェンジは廃止して、HW開発リソースをSWメンテナンスリソースに割り当てて5年間のアップデート提供を保証してはどうか?という案である。

さて、自動車は中古市場が浸透している。スマートフォンの中古市場はこれから充実していく方向があるものの、SW寿命とリチウムイオンバッテリー寿命がそれ以外の部品に対して短く、通信会社の2年縛りの慣例によって、2年程度で寿命が尽きると考えている。そのため、中古市場価格もすぐに下がる ... と書いたところで、実際の中古市場を調べてみたら、価格推移の情報が見つからなかった。そもそも、発売から3年以上経過した中古端末が一部のハイエンド機を除いて流通在庫がない。各キャリアが価格を下げて古いモデルを継続して販売しているのも、中古市場に回らない理由と考えられる。

その点、AppleiOS は5年近くの寿命を持っているため、買い替え年数の長期化を招いたとも言えるが、iPhone そのものの寿命を長くし、中古市場価格も高値で値崩れが発生しにくいのではないかとも考えられる。iPhone の劣化バッテリーについても、交換費用を下げるという戦略に出た。その後の新モデルは高価格帯のみで、米国の対中国への関税導入もあり、iPhone が売れないという迷走に入ってしまった。ブランド戦略もあるだろうが、裏目に出てしまっている。

Dumb Watch と言うのかは知らないが、スマートウォッチではない腕時計では、低価格帯と高価格帯に分かれ、あるような無いような世界だ。中には、家が建つほどの値段の物もあるが、そういうモデルは機械式で修理が可能であり、相対的に購入価格に対する修理費用は少なくなる。iPhone はブランドとしては高価格帯を維持したいだろうが、そうするとシェアが下がり、魅力的なアプリケーションが出てこなくなってしまう。Mac はパソコン市場でのシェアは 5〜7%をキープしていて、一定数のユーザーに受け入れられ続けている。iPhone がこのまま高価格帯路線で進むと、市場シェアは10%レベルまで下がるかもしれない。そのため、Apple が 2019年モデルとしてどのようなラインナップを揃えるのか、興味深い。かつての Intel の CPU の Tic-Tac モデルのように、大胆な改良と、その洗練化を繰り返す戦略を採用するのかもしれない。

さて、ここで日本車が世界で通用するようになった背景を考えてみよう。現在のガソリン車はドイツで生まれ、米国で量産車が生産されるようになり、それを日本人が模倣から始まって海外で売れるレベルまで品質を上げた。各メーカーの企業努力はもちろんのことだが、車検制度も品質向上の動機になったと考えられる。

総務省が想定するゴールがどこにあるのか明言されていないため分からないが、仮にスマートフォンを自動車のように新品と中古品から選択でき、性能やデザインによって価格にもバリエーションがあり、ガソリンのように品質や価格やサービス内容によってガソリンスタンド系列を選択するように、キャリアを選択する世界をゴールとして描いていると仮定する。その場合、自動車に合ってスマートフォンに無いのが、車検制度に相当する検査である。

例えば、2年毎にセキュリティーテスト、性能テスト、機器の安全性テスト(特にバッテリーの劣化度)をパスしなければ、そのスマートフォンは使い続けることができない、というのを制度化してみてはどうだろうか。その結果、安心して使えるスマートフォンのみが市場に出回り、基準に満たない製品は駆逐される。また、買い替え年数の長期化に伴い、バッテリーは交換可能になったり、その他のパーツの品質も上がることが期待できないだろうか?

スマートフォン自体が、まだ成長段階にあるため、10年持たせろとは言わないが、5年位は持って欲しい。ゲーム分野での使用を除いた一般的な用途で使用するには、性能的にはそろそろ飽和していると感じる。そのため、カメラ性能以外の差別化要因として長寿命を挙げても良い頃のではないだろうか?更に、低価格化が実現できれば、これまで対象外になっていた国が輸出先となるのではないか?

クオーツ式腕時計や自動車を始めとした日本製品の異常な品質の高さという代名詞を、「勿体無い」の概念と共に、スマートフォンでも取り戻して欲しい。