ThinkPad X1 Carbon 6th (2018モデル) を購入した
購入機種
前回述べた Yoga Book with Windows のパフォーマンスへの不満の解消に対する解答として、同じく Lenovo の ThinkPad X1 Carbon 6th-Gen (2018 モデル) を購入した。
ThinkPad X1 Carbon は第5世代の 2017 年モデルからベゼル幅が狭くなり、14" ディスプレイを搭載しつつ、以前の 13.3" ディスプレイのモデルと同じ大きさになった。現に、現在市販されている一般的な 13.3" ノートブック PC 用のケースに収まるようだ。さらに、重量も若干軽くなり、1.15 kg である。ところが、12.5" ディスプレイモデルである ThinkPad x280 もほぼ同じ重さで、ひとまわり小く、価格も幾分低くなっている。x280 にするか少し迷ったが、私にとっては、キーボードに Home/End/Insert キーが独立している点が差別化のポイントになるため、ThinPad X1 Carbon を選ぶことにした。普段、デスクトップ PC で使用しているトラックポイントキーボードとキー配置と大きさがほぼ同じとなるのもポイントが高い。ThinkPad X1 Carbon の第7世代 (2019 モデル)も既に発表されているが、2019年9月以降の発売を予定しているため、そこまで待つことはできず、第6世代 (2018 モデル) の購入を決めた。
スペック
購入した ThinkPad X1 Carbon の主要スペックは下記のとおり。
- CPU : Intel Core i5-8250U (4core/8threads, 1.6-3.4GHz)
- Memory : 8GB
- Storage : M.2 2280 SATA SSD 128GB
- Display : 14" QWHD IPS (光沢なし)
- Scurity : 指紋認証あり、生体顔認証なし
- LTE : なし
ストレージは足りなければ換装するつもりである。SATA で 512GB もあれば十分だろう、直販サイトでのカスタマイズ時の差額 ¥35,000 以下なら換装した方が安い。NVMe タイプは消費電力が多いため、避けるつもりである。速度よりバッテリー稼動時間を優先したい。CPU は Core i5 を選択した。第8世代となって大幅に性能が上がり、Core i7 とは劇的な性能差はない。Core i5 モデルを選択したので、メモリーは上限の 8GB とし、全体的にコストパフォーマンスを優先した構成にしている(Core i5 でも16 GB 積められると良いのだが)。RJ45 拡張コネクターは手持ちの USB 3.0 LAN アダプターがあるので外した。OS はリモートデスクトップが使いたかったのと、Hyper-V があれば Docker が使えるため、Windows 10 Pro を選択した。納期を早めたかったので米沢モデルでオーダーした。
上記の構成で e クーポン適用後 ¥151,016 だった(2019/01/14)。ちなみに、Yoga Book c930 の m3/Wi-Fi モデルは e クーポン適用後 ¥122,653 で約3万円の価格差である。今回は、10" サイズのフットワークの軽さより、キーボードの入力のしやすさを優先した。参考までに ThinkPad x280 で同様の構成を取ると e クーポン適用後 ¥127,510 で約2.5万円の価格差である。
使用感
久しぶりに ThinkPad を触ってみたが、キーボードは期待通り打ちやすい。意外だったのは、以前に比べてトラックパッドを良く使うようになっていたことだった。最近は Yoga Book を使うケースが多かったためだろう。
また、Lenovo Vantage が便利だ。ドライバーを最新の状態に保つのが楽である。
赤外線カメラは搭載していないので顔認証はできないモデルだが、指紋認証はできるので、ログインも楽だ。 ただし、1ヶ月程使っているが、Web 上のレビュー記事で指摘されているように、指紋認証に失敗する様になった。以前は1回で成功していたので、指紋認証の精度が落ちたのだろうか?
そこで、指紋の再登録をしてみたところ、認識率が元に戻った。再登録は「スタート」→「設定」→「アカウント」→「サインイン オプション」→「指紋認証」で一旦「削除」を押下し、「セットアップ」で実施した。指紋認証の機能は Windows 10 になってから Windows Hello の機能として実装されている様子。今後、Windows Update が行われたら指紋の再登録を行なった方が良いかもしれない。
14" の QHD ディスプレイは期待通り美しく、文字のジャギーが目立たない。現在、DPI スケーリングを 125% に設定して使用している。
実際に手に持ってみると、大きさの割に軽く感じた。Macbook Air (2015 モデル) と比べて、大きさはほぼ同じで 200g 軽い。もちろん、Yoga Book に比べれば重い。そして、持ち歩いてみたところ、重さはそれ程気にならないが、大きさの方が気になった。Yoga Book を持ち歩く場合は、それ程鞄の大きさに悩まない。Yoga Book はケースに入れた状態で patagonia のライトウェイト トラベル クーリエに丁度入る大きさで、ちょっと外出するついでに持ち歩ける感覚だ。Surface Go がそれなりに受け入れられるのは、この大きさと重量の点があるだろう。一方で ThinkPad X1 Carbon はひとまわり大きいサイズの鞄が必要になる。patagonia のライトウェイト トラベル トート バッグがちょうどいい感じだ。カンケン バッグだとやや小さい。2年ほど前の 13" ノートブック PC と同じくらいの大きさなので、PC ケースは、現物確認すれば選択肢は案外多いことが分かった。
さて、喫茶店に持ち込んで使ってみると、やはり場所を取る。ドトール コーヒーやコメダ珈琲店の2人用の席のテーブルを使うと、横にコーヒーカップは置けず、裏に置くことになる(カウンター席だともう少し広いため、コーヒーを横に置くこともできる)。そういったデメリットが有るが、デスクトップ PC で使っているのと殆ど変わらないキーボードで入力ができ、4年前のデスクトップPCよりも高い処理能力を持ち運べてしまうメリットが有る。場所さえ確保できれば、申し分ない環境で作業できるのである。我慢しなければならない点が少なくなるのがサブノートPCとの違いだろう。これが Surface Pro だと後ろにスタンドがあるため、狭いテーブルではコーヒーを置く場所が無くなってしまいそうだ。
先日、金沢へ旅行で行ったが、往復でグリーン席車両を使用した。グリーン車のテーブルでは、左右に数センチの余裕がある状態で、空いたスペースにはペットボトルは置けない位だった。幸い、肘掛けにカップホルダーが有ったので、それを使用した。東海道新幹線では肘掛けにカップホルダーが無いため、使いにくいかもしれない。社内では問題なくキーボードは打てたし、トラックポイントの操作もできた。ただし、東京~大宮間は揺れが酷くて、打ち間違えそうだった。とは言え、この区間は Wi-Fi が使用できた。それ以外の区間は使える区間はあるが低速で、トンネル内では切断されるため不便だった。今回は、新幹線の乗車中ほぼ2時間半の間、Ruby on Rails のチュートリアルを実施していた。
バッテリーでの稼働時間について比較してみる。Yoga Book with Windows では Ruby on Rails チュートリアルを実施していたところ、約7時間後にバッテリー容量が20%以下の警告が表示された。ThinkPad X1 Carbon で同様に Ruby on Rails チュートリアルを実施した場合は、約10時間後に残り20%の警告が表示された。
仕様では、Yoga Book with Windows のバッテリー容量は 8500mAh、一方、ThinkPad X1 Carbon は 57Wh となっていて単位が異なるため単純比較はできない。コマンドプロンプトを開いて、powercfg /batteryreport
を実行した結果も含めて比較すると、下記のようになる。もちろん、CPU やストレージが異なるので参考程度だが、まだ1ヶ月程度しか使っていないにせよ、ThinkPad X1 Carbon は Ruby on Rails チュートリアルの実施程度の負荷であれば、ほぼ終日作業ができる程度のバッテリー運用ができることが分かった。
Installed batteries | Yoga Book for Wndows | ThinkPad X1 Carbon |
---|---|---|
DESIGN CAPACITY | 32,984 mWh | 57,000 mWh |
FULL CHARGE CAPACITY | 28,211 mWh | 56,800 mWh |
Ruby on Rails Tutorial | 7 hours | 10 hours |
powercfg /BATTERYREPORT
参考:【安心】バッテリーレポートでPCのバッテリーの実力と寿命を知る方法
パフォーマンス
WSL での Ruby on Rails チュートリアルの実装作業は Yoga Book に比べて、期待した程速くはならなかったのが残念なところ。
性能比較として、Basemark Web 3.0
を使用してみた。Basemark Web 3.0
のスコアで比較すると、下記のようになる。基本は Chrome で測定しているが、iPad Pro のみ Safari での計測である。
Basemark Web 3.0
はブラウザー上で実行するベンチマークソフトであるため、ディスクIOなどは反映されないが、使用頻度の高いブラウザーの能力を他のPCと同一条件で比較できる。インストールが不要のため、家電量販店でも試すことができる。iPad Pro は Safari で実行できたのだが、Yoga Book c930 と Surface Go では、Edge でテストの実行はできるがスコアが表示されない(スコアが N/A)という結果になり、比較できなかった。
グラフで分かるように、Yoga Book with Windows は 8" タブレット(ZenPad 3 8.0)にも負ける程の能力であることが分かる。ベンチマーク自体がグラフィック性能に強く依存している背景もあるが、結果を見て少々凹んだ。また、Apple の謳い文句通り、iPad Pro 2018 のスコアが ThinkPad X1 Carbon よりも高くなっているのが興味深い。自作 PC では、現在使用しているグラフィックボード付きのモデルが最速であるという結果になった。Basemark Web 3.0
は手軽に試せるベンチマークソフトとして、今後も活用するつもりだ。
実際に Rails の開発でのパフォーマンスの比較もしておく。第10章を完了した時点で time rails test
を3回実行して、実行時間を比較してみた。ほぼ同じ条件で比較するため、一旦 PC を再起動し、WSL の Ubuntu を起動した状態でテストを実行している。実行結果は下図のようになる。
どちらも1回目のテスト実行時は実行時間が長いが、ThinkPad X1 Carbon は Yoga Book for Windows の約半分の実行時間となっている。まあ、価格が約3倍なので、1/3 倍の実行速度となってくれたら嬉しいが、半分の実行速度でもまずまずといったところか。条件が異なるため単純比較はできないが、Basemark Web 3.0
のスコア程の差は出て来ないのは、Rails のテストではおそらく GPU の能力は使用せず、CPU も1コアのみの処理となっているためではないかと考えられる。
パフォーマンスと言えば、年に2回ある Windows の大規模な Update の適用に非常に長い時間を要するのが Yoga Book を使用する際の不満だ。来る4月の Windows の大規模な Update の適用時間が Yoga Book と ThinkPad X1 Carbon でどれほど違うか、比較する予定。
補記
ThinkPad x390 が発表された。ついに x2XX シリーズが 13" ディスプレイに全面更改となった。重量は 1.28kg と ThinkPad X1 Carbon 6th より約100g重い。大きさは横幅が ThinkPad X1 Carbon 6th より 1cm 狭い程度。ThinkPad x390 が微妙な位置付けになっている。x280 ほど軽くも小さくもなく、X1 Carbon より幅が若干狭いだけで重い。あとは価格がどの程度安く設定されるか。まあ、ThinkPad X1 Carbon を買った身としてはあまり気にならない。
まとめ
ThinkPad X1 Carbon はディスプレイも十分広く、メインとしての使用にも耐えうる PC である。最軽量と言うわけではないが、持ち歩いてもその重さが負担となることはないだろう。ノートブック PC の中で最も打ちやすいキーボードが搭載されたノートブック PC を持ち歩きできることは、外出先での作業中のストレスを軽減してくれる。そして、14" サイズの QWHD 液晶は文字が綺麗に表示され、読みやすくなった。