dhtakeuti’s thoughts

主に開発やPCについて考えたこと、感じたことの記録

2 in 1 PC とは何か?

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ノートブックPCの進化形(?)として、2in1 PC がある。YOGA BOOK もこのジャンルのモデルだ。このジャンルがよく分からないので、まとめてみた。

可搬型 PC の種類

従来のノートブック型のPCも含めて、持ち歩きを前提にした PC の形態について、以下にまとめる。

ノートブック PC (クラムシェル型)
キーボードと本体(基盤、ストレージ、バッテリー)が一体化されている。ディスプレイは、キーボードを含む本体にヒンジを使って接続される。ディスプレイを開いたり閉じたりする様子が貝に似ているためクラムシェル型と呼ばれる様になった。
2in1 PC-コンバーチブル
クラムシェル型と同様に、キーボードと本体が一体化されている。ディスプレイは、キーボードを含む本体にヒンジを使って接続される。ディスプレイが360度回転するのが特徴で、ノートブックモード、テントモード、スタンドモード、タブレットモードに変形して使用できる。Lenovo の Yoga シリーズが代表的である。
2in1 PC-セパレート型
ディスプレイと本体が一体化され、独立してタブレットとしても使用できる。キーボードとディスプレイは、取り外し可能なヒンジで固定し、従来のクラムシェル型と同様の使い方ができる。マイクロソフトSurface Book シリーズが代表的である。
2in1 PC-タブレット+カバー型
ディスプレイと本体が一体化され、独立してタブレットとしても使用できる。キーボードは純正カバーとして提供され、無線、あるいは専用コネクターで接続する。ディスプレイにスタンドが付いており、従来のクラムシェル型に似た形態での使い方もできる。マイクロソフトSurface pro シリーズが代表的である。

2in1 PC が生まれた背景

マイクロソフトWindowsタブレット OS としても使える様にしようとしたことが発端である。Windows 8 で標準のデスクトップにタイル表示を導入し、タブレット操作で Windows を使える様にしようと目論んだ。それに合わせて、各社から純粋な Windows タブレット機が出され、一部のユーザーに受け入れられた。その一方で、通常のデスクトップ PC ユーザーやノートブック PC ユーザーからは、標準 GUI の改変に対して反発が生まれた。特に、従来のスタートメニューがなくなった点は批判が多く、後に Windows 10 でスタートメニューが復活するということで落ち着いている。この事は、結果的に Windowsタブレット形態での使用時の UI がこれ以上は向上しない、ということになった(それとも、緩やかに変化しようとしているのだろうか?)。

当初から指摘されていたが、マウスとキーボードを使った操作と指での操作では全く異なる GUI が要求されるが、無理やり融合しようとすることで歪みが生じる。エクスプローラーでのファイル操作で、マウスで選択して別のウィンドウにドラッグしてドロップするという操作を指で行うには、確実にファイルを選択するためにアイコンのサイズは大きい方がよく、複数選択もチェックボックス方式の方がし易いなど、GUI に要求される表現方法が変わって来る。そのため、Windows を純粋にタブレットのみで使用する使い方は一般化しなかった。しかし、マイクロソフトWindowsタブレットでの使用を諦めず、自ら Surface シリーズを提供する事で、タブレット市場の活性化と拡大を目指した。

Windows 8 発売当時の純粋な Windows タブレットは重かった。通常のノートブック PC と同等のパフォーマンスを得るには、単純にノートブック PC の本体がタブレット内に含まれる。IntelAtom プロセッサーを載せた 8" サイズの軽量なモデルも現れたが、パフォーマンスが劣るせいもあり、主流とはならなかった。そのような中で、タブレットとノートブック PC を融合する形態として 2in1 PC が主流となってきた。

コンバーチブル型は、通常のノートブック PC のヒンジの構造を変えて、ディスプレイを360度回転するようにし、タブレットのような形態でも使用できる様になっている。このタイプは、従来のノートブック PC の構造のままタブレットとしても使えるようにできるため、設計し易いと思われる。ノートブック PC としての強度も確保でき、ノートブックモードでの使用時の重量バランスも良い。一方で、スタンドモードやタブレットモードで使用するときに、キーボード面が机や手に接触するため、誤動作や破損が懸念される。恐らく、ノートブック PC のディスプレイをひっくり返せばタブレットになるんじゃね?的な発想から生まれたのだろう。ディスプレイを回転させるアプローチが古くから有ったが、やはり強度確保の面で難しかったのだろう。Microsoft の Serface シリーズにはこのタイプのラインナップはない。

タブレット+カバー型は、タブレット単体からのアプローチで、単体のタブレットとして動作する事が前提となる。キーボードを載せた専用のカバーを併用し、タブレット自体にスタンドを持たせる事で、容易にノートブック PC のような形態での使用ができるようになる。その場合、スタンドが必要になるため、占有面積がクラムシェル型などに比べて広くなる。膝上で使用する場合や、都市部のコーヒーショップの狭い机で使用する場合には、使いづらい。AppleiPad が、この形態でキーボード入力と可搬性の向上を図っている。MicrosoftSurface pro と Serface Go では、タブレットにスタンドを追加することで、より使いやすくなっている。

セパレート型は、タブレット+カバー型の発展型である。キーボードとタブレットを脱着式のヒンジで固定する事で、容易にノートブック PC のような形態での使用ができるようになる。その場合、重量バランスを持たせるために、キーボード側にバッテリーや追加のストレージを載せる事が多い。その結果、総重量が増すことになる。また、ヒンジ部の強度確保など、設計も難しい。恐らく、重量面のデメリットから、消えゆく運命にあると予想する。Microsoft の Serface Book がこのタイプである。

2in1 PC の行く末

ここからは、私の妄想となる。

従来型であるクラムシェル型は生き残るだろう。ただし、コンバーチブル型が重量面と価格面でクラムシェル型と差がなくなれば、コンバーチブル型が可搬性 PC の主流となりうる。99% はノートブックモードで使用するが、稀にタブレットとして使いたい、スタンドモードで使いたい、という場合にも対応できるためだ。

タブレット+カバー型については、そのうち消えるのではないかと考えている。スマートフォンの能力向上と普及率の高さから、Windowsタブレットとして使うメリットは無く、既存の豊富なデスクトップアプリケーションを使用する環境として Windows を使うメリットの方が大きい。その場合キーボード入力とマウス操作が前提となる。タブレット+カバー型で、結局はキーボード入力とマウス操作を行うのであれば、重量と価格のメリットが無くなったときに、使い勝手の良いクラムシェル型に収束すると思う。

ここで、なぜ今 2in1 PC があるのか考えてみよう。この疑問には、別の疑問で考えよう。なぜ Windows タブレットは単体で使われないのだろうか?と。

まず、Windows タブレットとは何かを考える。Windows タブレットとは、CPU とメモリー、ストレージとバッテリーを内包して、タッチ操作ができるディスプレイによって画面操作を行う情報端末で、OS に Windows を使用したものである。タブレットを起動すると、そこには慣れ親しん Windows のデスクトップ画面が表示される。タブレット専用の GUI ではない。それが Windows タブレットだ。

Windows タブレットの画面に表示されているアイコンのクリックやメニュー操作は、指での操作に最適化されたものではない。スタイラスSurface Pen のようなものが必要になる。あるいは、慣れ親しんマウスだ。何らかの操作をして、アプリケーションを起動しよう。例えば、皆大好き、Excel だ。ノートパッドでもいい。何か、数値や文章を入力しよう。タブレットとして使用している場合、仮想キーボードを表示して入力する事になる。Windows ではタッチキーボードを表示する。その場合、画面の下1/3がキーボード入力エリアとして占有される。そして、普段 Windows をデスクトップ PC やノートブック PC で使っているユーザーにとって、タッチ操作での入力はもどかし過ぎる。ならば、使い慣れた物理キーボードを使えばいいじゃないか!しかし、せっかく可搬性の優れたタブレットに、デスクトップ用のキーボードを使ってしまったら、持ち歩きが不便だ。もっと軽量コンパクトなキーボードを使うことにしよう。そういえば、専用のキーボードカバーがあるじゃないか!デスクトップ用キーボードより打ちにくいけど、タッチキーボードに比べれば遥かにマシだ。タッチキーボードが無くなって、画面も広く使えるし、使い勝手はノートブック PC に匹敵するぜ!

こうして、Windows タブレットのノートブック PC 化が為され、Windows タブレットとキーボードカバーとマウスとペンのセット販売が主流となっていく。2in1 PC のタブレット+カバー型である。AppleiPad でこのスタイルが確立していることも、一般化の助けとなっている。

タブレット+カバー型は、Windows タブレット単体の操作性を補完した結果、クラムシェル型のノートブック PC に近づいていくアプローチだが、セパレート型とコンバーチブル型は、逆のアプローチである。大半はクラムシェル型での使用を想定し、ある1時点のみタブレットとして使用する想定である。タブレットとして使う際に、完全なタブレットとなるのがセパレート型で、分厚い裏面がキーボードになっているタブレットとなるのがコンバーチブル型である。本体の能力を犠牲にすること無く、軽く薄くすることができれば、コンバーチブル型のアプローチが有利になる。

いずれにせよ、Windows タブレットの使い勝手を上げようとすれば、結局はクラムシェル型のノートブック PC に近づくことになる。現在の Windows タブレットで、タブレットの形態で使用するのは、ペン入力によるコメント書きや、イラスト作成程度ではないか思われる。十分に軽く薄くなっていれば、タブレットの形態で使用する時だけキーボードをひっくり返すコンバーチブル型で十分だ。タブレットの形態で常時使用するような用途には、指によるタッチ操作により優れた iPadAndroid タブレットが採用されるだろう。実際のところ、Surface Pro や、Surface Go を、タイプカバー無しで購入するユーザーの割合はどの程度なのだろうか。

それから、タブレット+カバー型とセパレート型では、ケーブルがマヌケに見える。このタイプでは、充電しながら使ったり、ドックを使って拡張する場合には、ディスプレイの横からケーブルが飛び出した状態になる。以前、ThinkPad 8 を所有していた時期があるが、家で bluetooth キーボードを接続して使用しているときに、ThinkPad 8 は充電ケーブルを差していた。ディスプレイの上から充電ケーブルが生えている姿は、どうにもマヌケである。MicrosoftSurface Go の 8GB モデルは処理能力と(Office が欲しい人にとっては)価格のバランスが良いモデルだが、やはり、USB で充電したり拡張すると、ディスプレイの横からケーブルが生えることになる。見た目がスマートでは無い。クラムシェル型やコンバーチブル型では、充電中でも、拡張しても、ディスプレイの周りはスッキリしている。私にとってはそれだけでも、タブレット+カバー型を避けて、クラムシェル型やコンバーチブル型を選択する理由になる。

さらに、主に複数のウィンドウを使用して作業している場合に、変形してタブレットにして縦に持ち替えたとしよう。画面は90度回転し、それに合わせて、開いていたウィンドウの横幅は狭められる。元の横向きに戻すと、ウィンドウの横幅は狭くなったままだ。これにもイライラさせられる。常にウィンドウ最大化して使えば、この問題は解消できるが、それなら Windows にこだわることもない。iOSAndroidタブレットの方が使いやすいだろう。

最終的には、コンバーチブル型に収束する、と言うのが私の予想だ。

YOGA BOOK への期待

妄想は続く。

ここで、私の考えでは、2in1 PC の中で、YOGA BOOK への期待が生まれる。現時点でタブレットとしてなんとか使用できる 800g 以下であり、厚さも 9.6mm である。初代 YOGA BOOK with WindowsAtom CPU+4GB RAM+eMMC 64GB であり、パフォーマンスについてはかなり妥協する必要があるが、第2世代の YOGA BOOK c930 では、大幅に改善されている。

YOGA BOOK with Windows の平面キーボードだが、正直に言って、Halo キーボードは打ちにくい。物理キーボードの3~5割減の入力速度になる。ただし、Android タブレットの仮想キーボードでの入力と比べると、1割増程度の入力速度向上がある(と感じる)。YOGA BOOK c930 でも同様だろう。恐らく、Lenovo の開発陣は、電子ペーパーによる平面キーボードの実現と、キーボード面を第2のディスプレイとしての活用、および、ディスプレイとは別のペン入力デバイスとして機能を盛って行こうと考えているだろう。私としては、今は電子ペーパーによる平面キーボードの実現までで抑えて欲しい。それだけでも、SKU の全世界共通化が実現できてコストメリットは出るはずだ。それ以上の機能は必要ない。ペン入力については、むしろディスプレイに直接ペン入力できることに注力して欲しい。ダブルクリックでディスプレイが開くようにするよりスリープ時のバッテリー消費を下げて欲しい。そして、メモリーは8GBにして欲しい。

平面キーボードの採用は、物理キーボードに慣れたユーザーにとっては、入力のストレスが高い。しかし、最初にスマートフォンタブレットでの入力に慣れた世代に取っては、その延長であるというスタンスで使用すると、それ程苦痛では無いのではないか。実際、タブレットのキーボードが画面から移動し、大きくなったと考えて使ってみると、さほど苦にならない。8インチサイズの小型ノートブック PC での入力に比べれば遥かに使いやすい。実は私は YOGA BOOK with Windows の発表時には、新しいペン入力とキーボード入力を採用した、キワモノという認識しかなかった。その後、退職に伴いノートブック PC が1台もない状態となって、5万円前後で 10~12" 程度のディスプレイを持った、1kg 以下のモデルを探してみた。ASUS T101HA に惹かれたが、解像度の低さで対象外となったが、その売場の近くに展示してあったのが YOGA BOOK だった。値段相応のスペックだが、FHD の解像度である点に興味を持ち、手にとってみて軽さを実感した。そしてキーボード入力を試したら、タブレットでの入力レベルはであることが分かり、入力音を全く出ないようにできることも分かった。その場で購入を決断した。タブレット画面の仮想キーボードが下にせり出した構造、と理解したからだった。最初からペン入力は考えていなかった。

ネット上のレビュー記事を読むと、平面キーボードは入力し難い、と言うのが一般的だ。いずれの記事も、物理キーボードでの入力を平面キーボードで再現しようとして、ブラインドタッチで高速入力ができるように工夫し、努力し、その結果、平面キーボードは使えないという結論に至る。むしろ、通常のノートブック PC のキーボードに劣るキーボードカバーであっても、物理キーボードであれば、ブラインドタッチができるため、入力速度が上がるという結論に達する。その結果として、タブレット+カバー型が主流派になっている。中には、より快適な入力環境を求めて、PFUbluetooth 接続の HHKB キーボードや、Lenovobluetooth 接続のトラックポイントキーボードを Surface Go と合わせて持ち歩く猛者も出てくる。その一方で、タブレット単体でタッチキーボードでの入力する場合と平面キーボードで入力した場合を比較している記事は見かけたことが無い。ブラインドタッチを求めず、タブレットのタッチキーボードに比べれば、多少早い、というスタンスで使用すれば、平面キーボードもまんざら捨てたものではないし、軽量化、薄型化、静音化、掃除のしやすさのメリットが生きてくる。夜の新幹線では、隣の席でサラリーマンが資料作りをしていることがある。カタカタカタカタ、ターン!と賑やかである。しかし、それが始終繰り返されるとイライラしてくる。平面キーボードでは、音とバイブレーションの設定を OFF にすれば入力時にほとんど音が出ないため、周りに迷惑をかけることもない。会議中に議事録をとる場合など、入力音がしないことはメリットになる。YOGA BOOK c930 が発表され、一時は出荷できないほどの予約があったようだ。話半分としても、一定数のユーザーがいるようだ。入力し難いと言われる平面キーボードだが、タブレットの仮想キーボードよりはマシという見方であれば、機能としては十分である。

同様に、タッチパッドの使い勝手の悪さが指摘されている。狭いし、機能も少ない。YOGA BOOK c930 では、スペースキーの分だけ広げるモードも導入された。いっそのこと、面全体をタッチパッドとするモードを導入してはどうだろうか。Web サイトを見ている時や、動画視聴、電子書籍を読むといった時には文字入力は不要だ。だったら、タッチパッドで~す、バーン!というモードがあってもいい。少なくとも、狭さから来る不満は解消される。

恐らく、数年先には CPU の消費電力当たりの処理能力の向上、および、量産による低価格化が進み、同様に RAM 容量単価と SSD の容量単価が下がるだろう。そして、Windows 10 がこのまま年2回の大規模アップデートはあるものの、以前のように前提H/W要件が大幅に変わるほどの変更は無い状態で推移すれば、販売開始からサポート終了まで約12年半という長寿命だった Windows XP のお陰で生まれたネットブックのように、より安価に Windows PC が製造されるだろう。そして、OS の仕様に大きな変化が無ければ、その上で動くアプリケーションが成長することになる。大幅な OS の仕様変更に追随し続ける必要はなくなるし、蓄積された know-How の陳腐化がなくなるだろう。その結果、開発者はアプリケーションの洗練化や機能の改善、処理速度の最適化などに時間を回せるようになるからだ。その頃に、Windows タブレットがどうなっているかは分からないが、Windows 10 がゆったりとした変化を続けるのだとすれば、コンバーチブル型に収束され、恐らくは消えて行くと思われる。

現在 2in1 PC がジャンルとして確立しているが、これまでに述べた様に、コンバーチブル型に収束すると思われる。その中で、YOGA BOOK のような平面キーボードを持ったコンバーチブル型のジャンルも生き残るのではないだろうか。平面キーボードの採用によって、より薄く軽い PC を作ることができる事は、すでに YOGA BOOK が実証している。そして、2代目では、電子ペーパーでキーボード面を表示させることで、その1台で様々な言語版のキーボードとして使えるようになった。

このように、電子ペーパーによる多国語対応の平面キーボードを使用し、OS の標準言語を UTF-8 (Windows だから UTF-16 か?) に統一し、全ての言語のフォントを備え、各国語対応の入力メソッドも備えていれば、どこの国の人でも使える全世界対応 PC を作ることができる。この全世界対応 PC が、どこの国に行っても、気軽にレンタルできるようになっていると考えよう。全世界対応 PC を借りて起動すると、ログイン画面が表示される。この画面は英語である。そこで、Microsoft アカウント(あるいは別のサービスのアカウント)を使ってログイン認証を行うと、サーバーから自身のアカウントのホームディレクトリーと端末設定情報がダウンロードされ、キーボードは設定されている言語版となり、デスクトップ画面は自身の設定した内容が、設定された言語で表示される。その頃になれば 5G 通信も一般的となっているだろうから、ローカルドライブもリモートドライブも 300MB/s 以上でアクセスできるだろう。必要なアプリケーションはネットワーク経由で実行するか、キャッシュとしてローカルドライブにダウンロードして使用する。Webサービスは現在と同様に、ブラウザー経由で利用できるだろう。予め必要なアプリケーションをローカルドライブにキャッシュしておけば、それ以降はネットワークが繋がらない環境でも実行できるし、通信料金を抑えることもできよう。後は、その PC を持ち歩いて好きな場所で好きなようにアプリケーションを使えば良い。仕事なり、旅行が終わったら、作成したデータは、使用したアカウントのクラウドストレージに保管し、レンタルした PC の返却前に PC を初期化した後、返却すれば良い。

飛行機や新幹線でも同様のサービスを受けることができるようになる。最初はビジネスシートやグリーン席の限定サービスだろう。座席前のテーブルを引き出し、蓋を開けると、全世界対応 PC が現れる。移動中は、レンタルのケースと同様に使用できる。使い終わったら、初期化だ。

このような環境が生まれたら、旅行や出張時に PC を持ち歩く必要はなくなる。飛行機の搭乗時にわざわざ PC を開く必要もない。

Intel が内部で進めていた Tiger Rapids プロジェクトでは、片面が液晶ディスプレイで、片面が電子ペーパーとなっていた。YOGA BOOK c930 は、その形態によく似ている。また、別のプロジェクトでは、両面が液晶ディスプレイとなっており、タッチ操作ができるようだ。ASUS はこの方向に研究を進めており、タッチパッドを液晶ディスプレイにしたモデルが、既に発売されている。これらの延長線上には、片面がデスクトップ画面表示、片面がキーボード表示された、2画面表示のノートブック PC の姿が見える。YOGA BOOK のように、片面を平面キーボードとして使うだけで無く、両面を使って電子書籍の見開きを行ったり、片面は編集結果表示に使用し、もう片面はキーボードだけでなく操作画面を表示するといった使い方もできるだろう。さらに、bluetooth 接続の物理キーボードを使えば、コンパクトな2画面環境となる。片面には参考資料を表示し、もう片面で文書作成ツールを使って文書作成を行うといった使い方もできよう。もう1台と接続して、3画面表示+キーボードという使い方もできる。

いずれにせよ、平面キーボードを受け入れられれば、これまでとは違ったジャンルとして使えるのではないだろうか。今日では、スマートフォンが普及し、国内では 80% 近くとなっている。13~59歳では90%を越えている。対して、PC の世帯主当たりの普及率は 80% 未満だ。特に地方では普及率が低いようだ。それでも、2台目として Surface Go のようなサブノート PC を個人が持つ時代が来ると考えている。最近は、文系の大学生でも、入学と同時にノートブック PC を購入するようだ。文献の調査や、課題の論文作成で使用するらしい。理系の学生なら、研究結果の集計やシミュレーション、数値計算などに使用するだろう。こういった世代が就職し、業務を PC でこなす上で、持ち運びに重点を置くことは容易に想像できる。自宅にデスクトップ PC を持つ場合は、24" 超のディスプレイを使うだろうし、ノートブック PC がメインである場合は 15" 程度のディスプレイのモデルが普及価格帯になってくる。そういった大きいディスプレイの情報機器と、スマートフォンの間にあるのが 8~10" のタブレット、または、10~12" のディスプレイのサブノート PC になる。常時持ち歩くことを考えると、800g 以下に収まるのが望ましい。OS に拘らずに軽くしたいならタブレットが向いているし、Windows 環境が必要であればサブノート PC になる。800g 以上でも構わないなら、13~14" のノートブック PC で、メインともなりうるモデルの方が良い。自宅では、大画面ディスプレイとキーボードに接続し、デスクトップ PC として使う方が良いかもしれない。

「現場で使える Ruby on Rails 5 速習実践ガイド」の梱包サイズは 23.5 x 18.3 x 2.6 cm  = 1118.13 立方cm → 1.2g/cm3 x 1118.13 ≒ 1.3kg となる。これら技術書を電子書籍で持てば、浮いた 1.3kg が追加で持てるノートブック PC の重さだ。梱包サイズではなく、書籍サイズであればもう少し軽いだろう。800g が目安となるのは、こういった裏付けもある。

移動時の使用を想定して、ある程度パフォーマンスに妥協すれば、Surface Go のような重量と大きさが扱い易い。もし、Surface Go が Office なしで上位モデルが6万円前後で販売されていたら、状況は少し変わったかもしれない。タイプカバーを付けて8万円前後だ。YOGA BOOK も同じジャンルに位置づけられる。スマートフォンとメイン PC の間で、お外で使用する可搬性に特化した Windows PC だ。Surface Laptop Go LTE 版なんて出てきたら、日本では受けるのではないだろうか。

参考