dhtakeuti’s thoughts

主に開発やPCについて考えたこと、感じたことの記録

iPad mini には矢印キーが必要だ!

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iOS ソフトウェアキーボード

WWDC 2019 では iPadOS が発表され、ファイル操作関連が改善された。USB メモリや SD カードへの対応や、SMB のサポート、ショートカットキーの追加などで PC に近づきつつある。しかし、まだ足りない重要なピースがある。

私は数ヶ月前に iPad mini (第5世代) を購入した。iPad mini を日常的に使用するようになって、iOS のソフトウェアキーボードに「←」「→」の矢印キーが無いことに気付いた。これが iPad 全般の製品レビューなどで、必ずと言っていいほど外付けキーボードと組み合わせて紹介している理由では無いかと思う。もちろん、ソフトウェアキーボードに比べて、ハードウェアキーボードの方がタッチタイピングもしやすく、入力効率が上がるのは理解できる。だが、ソフトウェアキーボードでも、矢印キーが加わることで、入力のストレスはかなり軽減できるのではないだろうか。

私は iPad mini で通常は画面は縦向きで、QWERTY 配列の標準のソフトウェアキーボードを使用している。ただし、Markdown 形式のファイルでは「IA-Writer」を使用している。「IA-Writer」のキーボードはアプリケーション側で手を加えられており、矢印キーが存在する。そのため、カーソルを1文字か2文字前後に移動するのがソフトウェアキーボード上で操作できる。この記事などは下書きに「IA-Writer」を使用しているが、矢印キーがあるおかげで、入力時にイライラすることは少ない。しかし、他のアプリケーションでは、iOS の標準のキーボードが使用され、矢印キーがない 。

矢印キーがないと、どう不便なのか例を挙げてみよう。例えば「iichiko」と入力するところを「iicjko」と入力してしまった時、まずはキーボードエリアから指を移動し、「iicjko」の中央辺りを指で長押しする。指で押したまま表示された拡大鏡を見ながら、カーソルを「j」の後ろに移動する。その後、指をキーボードエリアに戻して「j」を削除し、「i」を入力する。外付けキーボードがあれば「ko」まで入力した時点で、指はキーボードから離れずに矢印キー「←」を2回押せばカーソルは「j」の後ろに移動する。修正したい箇所を直接タップする事で直感的な操作であるとも言えるが、「j」の様に幅の狭い文字を指で微調整しながらカーソルを目的の場所まで持って行くのは、非常にイライラする操作である。また、キーボードエリアと入力中の文章の該当箇所との間を、視線だけでなく指も移動させなければならないため、入力に集中できない。

もしもソフトウェアキーボードに矢印キーがあれば、同様に「iicjko」と入力したところで間違いに気づき、キーボードエリア内で矢印キー「←」を2回タップすれば、カーソルは「j」の後ろに移動する。

現在の仕様では、数文字単位のカーソル移動のために拡大鏡が表示されるのであろうが、PC を使える現代人にとっては矢印キーを2回タップする方がよっぽど直感的に感じるし、不必要な指の動作がなくなる分だけ思考の途切れが発生しなくなる。

カーソル移動については、2本の指でキーボードエリアをドラッグすればタッチパッドの様に使えるとか、スペースバーを長押し+ドラッグで同様の操作ができるなどの改善はされている。しかし、これらの操作は大きく移動する場合に有効であって、1文字とか2文字の移動には向かない。一般的かどうかは知らないが、私は「ichiko」と入力する時は「」を先に入力して、そのあいだに iichiko を入力する癖がある。() とか []も同様である。その場合、必ず1文字戻る操作が必要にない、余計に指の移動が大きくなり煩わしい。

iPad mini を使う前は ASUSZenPad 3 8.0 を使っていた。こちらの OS は Android で、標準のソフトウェアキーボードに矢印キーがあったため、1文字とか2文字の移動には迷いもなく矢印キーを使用してストレスも感じなかったが、iPad mini にした途端に数文字のカーソル移動にストレスを感じる様になった。

iPad mini は、そのサイズと重量がモバイルとして使用するのにバランスが高いタブレットである。第5世代になって SoC の性能も大幅に向上し、Apple Pencil も使える様になった。それなのにソフトウェアキーボードには矢印キーがない。その1点が iPad mini の魅力を大きく損なっている事に Apple は気付いていないのだろうか?

旅行時やちょっとした外出の際には、できる限り荷物は少なく軽くしたい中で、外付けキーボードで 200g 以上の増加の負担は大きい。iPad mini 本体は 310g 程度である。ソフトウェアキーボードに矢印キーが付いていれば、200g 荷物を減らせるだろう。どうせ重くなるなら、外付けキーボードを持ち歩くのではなく、iPad mini を2台持ってデュアルディスプレイにした方が作業効率がいいし、モバイルバッテリーを持っていた方が、いざという時への安心が得られる。

京都旅行では Patagonia LW トラベルクーリエに iPad mini を入れて常時持ち歩いていた。地図で目的地までの経路を確認したり、飲食店を探したり、その場所の歴史を調べたり、その時感じたことをメモしたりという用途に、 iPad mini は最適だった。ただ、数文字のカーソル移動時のみ、眉間に皺を寄せてイラッとしながら指で微調整しなければいけないのが気になった。iPad mini という H/W も iOS (iPadOS) という S/W も素晴らしいが、ソフトウェアキーボードに矢印キーが無い事が画竜点睛を欠く状態になっているのが残念である。

まとめ

  • iPad mini のソフトウェアキーボードには矢印キーが必要だ!